なんか面白くない。
なんか面白くない。
カナダ・エドモントンからやってきたインプロ・グループ「スクラッチ」のインプロ・ショーを観ました。彼らは、男性の2人組みで、インプロ・グループ「ラピッド・ファイアー」のメンバーでもあります。
彼らのショーは、「場所」、「物」、「好きな映画」のタイトルをもらって、3つのシーン(それぞれはまったく関連していない内容)を創り、それがコネクトしていくという「ハロルド」スタイル。
「場所」=「裁判所」
「物」=「ブーメラン」
「好きな映画」=「テルマ&ルイーズ」
グループとしては3年ぐらい一緒に活動しているそうで、安定したインプロ・パフォーマンスでした。
ただ、、、。
勇気を出して言うならば、「あんまり面白くない。」。。。
(「良かった!」と簡単に言ってしまうこともできるし、「インプロだから、いつもいいとは限らない」と割り切ってしまうこともできるけれど、それでいいんだろうか?
なんとなくでも、自分が「面白くなかった」と思えること、それを口にすることから、新しい発見ができるんじゃないだろうか?)
そんなことを考えさせられた公演でした。
********************
「インプロのパフォーマンスで大事なことは、いったいなんだろう?」
と考え込んでしまいました。
* **********************
昨日観たインプロ・ショー「ファンク・ラビット」も、男性2人のハロルド・スタイル。
フォーマットとしては似ています。
でも、観客としてのわたしが受けたインパクトの質がまったく違いました。
どう違ったか?
<パフォーマーについて>
「面白いことをしてやろう」と意識して(もしくは無意識にそういう根本思想のもとに)パフォーマンスをしているインプロバイザーは、どんなにアイデアが面白くても、面白くない。
と、いうか、観客としてのわたしは楽しむことができなかった。
無垢な気持ちで楽しんでパフォーマンスしているインプロバイザーのほうが面白い。
とても面白いインプロバイザーは、上記の理由+もともと持っているパフォーマーとしての「質」(才能とも言う?)を持っている。こういうインプロバイザーは、インプロ(もしくは表現活動)をやめることはない。どうしてかというと、それは「人間として空気を吸う」ことと同意味だから。
<ストーリーに関して。>
「車に乗る」「旅に出る」「忘れ物をする」などの事柄が変わっても、ストーリーにはならない。
(それをストーリーと呼ぶ人もいるけれども、それはただ時間の流れを表現しているだけで、観客を感動させることはできない)。
キース・ジョンストンは「ストーリーとは、人間関係が変化することである」と言っている。
わたしは同じことを、2つのショーを見て感じた。
1つは、人間関係の逆転や、あるキャラクターの内面の変化があったし、それによって「感情」がほとばしるインパクトのあるパフォーマンスだった。
もう1つは、場所や事実が変化したのだけれど、キャラクターは変わらなかった。だから
テレビを見終わったようなそんなインパクトが残った。何か見たけれど、何も残らない感じ。
観たけれど、観客としてのわたしの心にはまったく影響が無い感じ。テイストレス。
* ********
*
これらは、トレーニングをつんだインプロバイザーでも陥りやすいポイントなんだなぁ~と感じました。
そもそも、「スクラッチ」の選んだ形式は、タグアウトやキャラクター・チェンジをものすごく沢山つかっていて、それが「ストーリーテリング」にはと~っても効果的。
お互いのアイデアをイエスアンドしていくためにも、クレバーな形式。
しかし、この形式には大きな落とし穴があったのです。それは、キャラクターの内面の変化を表現しづらいということ。
だから、観客のココロを動かすことは、この形式では難しい。
むしろ観客が理屈を考えだすことを刺激してしまう形式だったりする。。。。
これは、インプロのパフォーマンスをするためには、演出家として、観客との距離や与える効果を見極める人が必要だということも示唆しています。
自分たちが「面白い」と思っていても、それが観客にどういうインパクトを与えるのか、それを見極めなくては、ホントウに伝えたいことを伝えることは難しいでしょう。
2つの、似ているけれどもまったく違うパフォーマンスを観たことは、自分のそれを振り返るいい機会でした。

Comments
>がとさん&いわおさん
はじめまして!
絹川です。書き込みをありがとうございました!
>がとさん
言葉で自分を表現するのは実に難しいものです。
だからこそ、こうやって「ブログ」という場で葛藤しているのですが。
「根本思想」については、タイトルは忘れてしまったのですが(スミマセン!)山田ズーニーさんの著書の中に書かれています。
どんなにうわべでいいことを言ったり、慈善的な行動をしたとしても、ココロの底の深層レベル(自分では気がついていないかもしれないぐらい深いところにある気持ち)で「ホントウに伝えたい理由」が自分勝手な欲望だったりすると、自分が伝えたいことは相手にはなかなか伝わらないというような内容でした。
***************
さて、わたしなんかより、数倍面白く、ためになる偉大な人たちの言葉を
少しですが、お伝えします。
キース・ジョンストンが言っています。
「先生に何か言われたら、その逆をやってみるといい。そのほうが正しかったりするから」
グロトフスキー(ポーランドの演出家)
「「観客のため」という表現は、ある種の媚態、ある種の虚偽、自己とのなれあいを含んでいる。
むしろ、観客「との関わりあいのうちに」、あるいは、おそらくは、観客の身代わりにというべきである。」(俳優の演技について、それを観客のために行ったのか?という問いに答えて。「実験演劇論」(テアトロ出版)より引用)。
それから、もうひとつ、グロトフスキーの言葉
「なにをするにしても、固定した法則やきまりきった型などはないということを銘記してください。肝心なことは、あらゆることが身体から、身体を通して出てこなければならないということです。」(「実験演劇論」(テアトロ出版)より引用)
これからもインプロを楽しんでください。
また、ご愛読もよろしくお願いしまーす!
Posted by: Yuri kinugawa | May 13, 2008 at 10:59 PM
こんにちは、はじめまして。
おとついはじめてインプロの講座を体験して、その楽しさや未知のモノに出会った喜びに勢いあまりながらインプロのこと調べていてここにたどり着きました。
うーん、そうですか、「面白いことをやってやろういう根本思想」で行うインプロは面白くないですか。うーむ。
僕の言いたい意図をきちんとお伝えできるかどうかわからないけど、僕は誰に習ったというわけでもなく、我流でコントのようなことをやっていて、どうしても人前に立たせていただくとき、料理屋さんがお客さんに「あったかいもん食わしてやろう」という心意気でメシつくるのと同じように、「オモロイこと言おう楽しんでる俺を持って帰ってもらおう」と思って人前に立ってましたです。。
うーむ、勉強になりました。僕これからインプロ、学んで、まねぼうと思ってるのでこれは心に留めますです。
えー、ありがとうございました。
Posted by: がと | May 12, 2008 at 03:29 AM
はじめまして。
いつも楽しく読ませていただいてます。
僕は舞台などをやってるわけではないのですが、
コミュニケーションなどにおいて、
インプロの可能性に惹きこまれた者です。
時間の流れではなく、
”感情を伝える”
”関係性の変化”
これって深いなあ~と思い、
大変勉強になりました!
ありがとうございます!
Posted by: いわお | May 03, 2008 at 02:42 PM