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September 30, 2012

インプロプレーヤーの「トラウマ」?

オークランドのインプロ・カンパニーの生徒さん対象にワークショップを行った。
彼らと対話していく中で、インプロの経験者にありがちな「トラウマ」について考えさせられた。

そのトラウマとは「イエスアンドしなくてはならない」「シーンが始まったら、相手の名前、場所、状況をできるだけ早く決めなくてはならない」「ストーリーを創らなくてはならない」「ティルトを起こさなくてはならない」「ステイタスの上下をつくらなくてはならない」など。

トラウマをもつプレーヤーは、本当は舞台に立つのが恐い。だから登場する前に、頭の中でシナリオを考えはじめる。その場に起こっていることを拾うより、いつもやっている「おきまり」のオファーをピックアップする。

わたしは、ニュージーで、日本で、アメリカで、ヨーロッパで、トラウマを持つインプロバイザーをたくさ〜ん見て来た。そしてまた、私もトラウマに苦しめられていた一人である。

そのひとりとして、以下の発言をしたいと思う。

このようなトラウマの元凶は、はっきり言って「講師」だと思う。
講師がその教え方を変えない限り、トラウマを持つインプロバイザーは増えるだろうな。。。
即興演劇を教えることは簡単ではない。

キース・ジョンストンの最近の仕事ぶりを見ていると、自分がつくったトラウマ・プレーヤーを「治療している」ようにも見える。インプロを習う中でトラウマを抱えてしまったプレーヤーたちを「癒す」仕事。「シアタースポーツ」の創始者が、自らそこに至るのは皮肉なことのようにも感じる。

なぜなら「シアタースポーツ」系のショーに出演する過程でトラウマになるプレーヤーがこれまたけっこういるのだ。これは日本に限らず。キースはそういうつもりではなかったと思うけれど、結果的に。だからキースはシアタースポーツの権利を手放した。「もうシアタースポーツは見たくない」って言ってた。

キースは、トラウマをつくるような講師ではない。
まったく反対。彼はプレーヤーに自信をもたせ、元気づけ、光とインスピレーションを与えてくれる人。

ただ、彼がつくった「シアタースポーツ」を教えていった様々な講師たちは、「シアタースポーツ」の構造の罠にハマり、間違った教え方をしてしまったように感じる。

キースの考え方を本当に理解していれば、そこの罠にはハマらなかったと思う。しかし講師たちは罠にはまっていきました。「シアタースポーツ」に「競争」の要素があったりすることによる、弊害です。

それはプレーヤーに自信を失わせ、怖がらせ、「元気なふり」をすることを教え、闇と恐怖を与えるような教え方。

私が「シアタースポーツ」の権利を持ちショーをしているのは、「シアタースポーツ」にまだ可能性があると感じているから。トラウマをつくらず、ショーをする可能性。

オークランドのインプロプレーヤーと話しをしていて彼らが何度も言っていたのは、「一人の講師にだけ習っていると、一つの見方しか学ぶことができない。それ以外の見方=ダメなこととなってしまう。だからいろいろな講師に習うのが大事。」ということ。

インプロの講師の中には「先代の先生(自分が習った先生)たちが言ったこと=正しい/そうでないこと=正しくない」と教えがち。わたしは、正しい/正しくないという価値判断があるとしたら「どっちも正しい」と思うし、そう教えるけど。

そもそも「正しい/正しくない」という価値基準自体がアートでは存在しないのはないか。「正しい演劇」とか「正しくない演劇」とか聞いたことがない。インプロも同じではないか。「正しいインプロ」とか「正しくないインプロ」とかあるのか/ないだろう。

だから「あなたのオファーは正しい/正しくない」とか「今のストーリーは正しい/正しくない」という指導はありえない。はずである。だからもし、そういう指導をしている人が自分の先生になってしまったら、「それもあるけど、逆も正しい」としたたかに理解したほうがいいと思う。

あるプレーヤーは「私のインプロの先生は、ワークショップでぜんぜんコメントをくれなかった。いろんなゲームをするばかり。最初は楽しかったけれど、冷静に考えると、私の先生たちは”自分達よりいいプレーヤーを育てよう”という気持ちは無かったと思う」と言っていた。


「あなたはまだ”これができていない”」と言って、いつまでもワークショップに通わせようとする。いくつものクラスを設定して。生徒たちをいつも自分達より「低く」おさえこんで、ショーには出演させない。自分達は出演するけど。そういうのって、いかがなものか。

サンフランシスコで、あるグループの即興のショーを見た。シェークスピアスタイルのロングフォーム。ベテランプレーヤー(2人)、中堅(2人)と新人(4人)。悪い意味で、レベルの差がありありと見える。なぜなら、台詞をしゃべったのはベテランか中堅のみ。新人はまったく台詞をしゃべらない

しゃべれないのか/しゃべってはいけないということだったのかは分からない。しかもシーンのすべての展開を起こしているのはベテラン。新人がまったくオファーをしないのだから(ほとんど舞台装置代わり)仕方がないのかもしれないが、ベテランが新人を立てることもできたのでは。

このようにアメリカで30年ぐらいインプロをやっているベテラン・プレーヤー(この人たちは講師でもある)が新人を育てられていない。それだけ「インプロプレーヤーを育てる」のは簡単なことではないのかもしれない。逆に「簡単さ!」と言いたいけれどもね〜(苦笑)。

それにしても、この彼らのロングフォームは本当に酷くて、言葉はそれらしい言葉使いをしているけれど、それ以外「どこがシェークスピアスタイル?」と突っ込み所満載。このグループはこの界隈では発言権があるし、このグループを「崇拝」している人たちもいるから、本当に頑張って欲しいなぁ〜。


ショーの後で、出演していたベテラン・プレーヤーと話しができた。ショーは大変だったんじゃない?「そうなのよぉ〜。」講師にも「本音」がある。生徒には話せない本音。でもそれは、すべて生徒のためになる「本音」であってほしい。自分のためではなく。

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